軍事板常見問題が更新されていたので、軽く返答

北朝鮮のスーパーノート疑惑について手嶋氏と原田氏にツッコミを入れたエントリを元に軍事板常見問題に対して訂正要求を出して一ヶ月。「一ヶ月も経ったのに反映されてないなんてー、ムキー!」なんて奇声を上げていたら、いつの間にか更新されてました。
Forged Notes, North Korea FAQ
ので、ちょっくらブログ上で返答します。

 なお,佐藤優や手嶋龍一は,この「スーパーノートはCIAの自作自演」説はジョンイルランドの仕込みだと主張する
http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200703220005o.nwc(リンク切れ)
が,
「解決不能」:ドイツ紙の報道は北朝鮮の情報工作だとする手嶋龍一氏にツッコミを入れてみる
によれば,その主張には根拠がないという.

 同ブログによれば,以下の点で,手嶋の主張には問題があるとしている.
(1) ベンダーの記事の中に実在しない「記述」を反証の起点としている.
(2) 「国連事務所の金庫から北韓製の偽ドル札が発見された」を,手嶋は「アメリカ当局による黙示の反証」としているが,北韓製とは断定されていない.
(3)  GIORI社がハイジャックによりハイテク技術をテロリストに渡したとする手嶋の説は,推測に推測を重ねたものでしかない.
(4) ベンダーの原著『Geldmacher』が刊行されたのは2004年7月.これは「スーパーノートを北韓が製造している」という主張を,アメリカが主張した2005年3月より前であり,未来を予測して情報工作を仕掛けるなどありえない.

 上記の考察を元に,ブログ主は

北朝鮮工作説は佐藤氏,手嶋氏の単なる思いつきだったのでは?

hagakurekakugo in FAQ BBS,日付:3月11日(火) 20時2分

と述べている.

 ただし,(4)については,北韓製の偽ドル札自体は1989年には発見されていることから,これに対するカウンター工作と考えれば,「ありえない」とまでは断言できない.

『「ありえない」とまでは断言できない』なんてのは、反論の体をなしていません。本当に工作が存在するのだったら、それが行われていた事を証明しないといけないでしょう。そんな事を言うんだったら、今回のチベット事件もCIAの工作ではないとは断言できないって言えますよ。何かしらの根拠がないと、陰謀論は言ったもの勝ちじゃないですか。
ってどこに書き込めばいいんだろう。また掲示板?ミクシ?
それと(1)(2)(3)については反論がありませんでしたので、この3点については異議はないという事で宜しいですね。

 また,ベンダーの荒唐無稽な記事によって誰が一番得をするかを考えれば,「ジョンイルランドの仕込み」という説も完全には否定できない.
(ただしその場合,ベンダーが天然の電波ではなく,ディスインフォメーション工作を行う意図を持っていたことを証明せねばならない)

ベンダー氏の記事が荒唐無稽であるかはさておいて、北朝鮮の得になるから工作説が否定できないって…。それはないでしょう。ネイチャーに横田めぐみさんの遺骨が偽者であるかどうかは断言出来ないとされる記事が掲載されましたよね。あれは北朝鮮の得になる報道でしたけど、あれも北朝鮮の工作は否定出来ないと仰るのですか?あくまで「ジョンイルランドの仕込み」を主張されるのなら、( )でご自身(消印所沢氏ですか?)がツッコミを入れている通り、言い出したほうが根拠を証明しないとならないでしょう。9.11陰謀論などのアメリカに対する陰謀論は許せず、北朝鮮に対する陰謀論は許すのなら、それは単なるダブルスタンダードです。

 さらに,同ブログで紹介されていた「手嶋龍一オフィシャルサイト」へのリンクは,すでにリンク切れになっており,同ブログが主張するようなことを本当に手嶋が書いていたのかを(,少なくとも1ヶ月やそこらの期間では)検証不能であったことも付記しておく.

手嶋氏の記事は魚拓を取ってます。
http://s02.megalodon.jp/2008-0204-1123-05/www.ryuichiteshima.com/news/facta/facta200705.htm
しかもスティーブンズ・クラブに登録すればまだ誰でも見られますよ。
http://www.ryuichiteshima.com/stephensclub/news/facta/200705.htm

 ちなみに,

>この件(スーパーノート)を色々調べていて分かったんですが,佐藤氏や手嶋氏(原田氏は…)といったインテリジェンスのプロでさえ時にはいい加減な事を言うんですね….軽く失望しました….
hagakurekakugo 日付:3月12日(水) 4時26分

だが,「超スパイ・ベラスコ」という比較的有名な「スパイ転じてトンデモさん」の例がある.
 また,手嶋は元NHK記者であって,元「インテリジェンスのプロ」ではない.「諜報分野に詳しい人」に過ぎない.

これは失礼しました。ここでの「インテリジェンスのプロ」というのは、「インテリジェンス」というネタでメシを食ってる人という緩い定義で使ってたもので。以後気を付けましょう。


ベンダー氏の記事に対して「ジョンイルランドの仕込み」と一言で片付けずに、私と佐藤氏・手嶋氏の両論併記の形を採用してくれた事に対しては感謝しております。ありがとうございました。