慰安婦発言 批判一色の論調(政考政読)

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慰安婦発言 批判一色の論調(政考政読)

旧日本軍が従軍慰安婦徴用に直接関与した証拠はないとする3月1日の安倍晋三首相発言を受け、
世界のマスコミはこぞって日本の歴史歪曲を批判する社説や論評を掲載。
日本がらみの海外論調はは慰安婦問題を巡る安倍批判一色という異例の事態が約一ヶ月続いた。
日本政府に対する慰安婦問題謝罪要求決議案の下院審議が進む米国では、
六日付ニューヨーク・タイムズ紙が社説で「恥ずべき過去を乗り越える第一歩は
その事実を認めることだと、安倍首相らは認識すべき時だ」と主張。
ワシントン・ポスト紙は「安倍晋三の虫のいい話」と題する二十四日付社説で首相を次のように批判した。
北朝鮮による拉致被害者の問題を国内的な支持の回復に利用してきた安倍首相は、
自らの一本調子な対北朝鮮強硬策を高度な道義上の問題だと主張している」
「首相には拉致問題での北朝鮮の拒絶姿勢に不満を表明する権利があるが、
一方で第二次大戦中の数万の女性に対する拉致、強姦、奴的奴隷化の責任を回避する主張を
展開しているのは面妖であり、腹立たしい」
七日付ロサンゼルス・タイムズ社説は「天皇のお出ましを」との刺激的な見出しで
「日本の自責の念に変わりはないとの首相の弁護を真に受ける者はいない」
「歴史問題に関する日本人と近隣諸国民の和解に最も貢献し得るのは天皇だ」 
天皇家の名前で犯されたあらゆる罪への陳謝を天皇が表明すれば、
政治家のいかなる声明よりも決定的で意味のあるものとなろう」と論じた。
このほかの主なマスコミの社説・論評の見出しを列挙し、批判の広がりの一端を示したい。
三月三日付「従蚤慰安婦を否定する安倍首欄の妄言」(韓国紙・中央日報
▽五日付「ついに本性を現した安倍首相」 (韓国紙・東亜日報) 
「日本に六カ国協議参加資格はあるか」 (韓国紙・ハンギョレ新聞)
▽六日付「未熟な日本」 (インドネシアジャカルタ・ポスト)
▽八日付「ごめんといえない日本」(米紙ボストン・グローブ
「首相が古傷広げる」 (米タイム誌オンライン版)
▽十日付「安倍首相に慰安なし」 (英誌エコノミスト
▽十二日付「恥ずべき言い逃れ」 (韓国紙コリア・タイムズ)
▽十九日付「必要なのは証拠ではなく良心」 (韓国紙・朝鮮日報
▽二十八日付「歴史を改ざんする安倍首相」 (南ドイツ新聞) 
慰安婦論争が経済にも影響」 (米通信社ブルームハーグ)
▽三十一日付「はっきり謝れ」 (韓国紙コリア・ヘラルド)
興味深いのは中国マスコミの報道抑制ぶり。慰安婦問題に関する論評はほとんどないまま、
主要各紙は十二日付紙面で「慰安婦の心の傷は大変な傷。心からおわびしている」との前日の
安倍首相発音を一斉に報道。
二十九日付新京報は社説で次のように論じ、温家宝首相訪日を控えて反日ムードを抑えたい
中国当局の意図をあらわにした。
「日本の政府要人が慰安婦靖国問題で一夜にして正しい態度を取ることは期待できない」
「国家にその立場を変えるよう促すには、深い接触が重要だ。温家宝首相の訪日は、まさにこの高みに立って進められるものだ」
(共同通信編集委員 横山司)