従軍慰安婦問題は本当に中国の陰謀か?

アメリカ下院で従軍慰安婦問題を炊き付けたのは中国の陰謀だ、と青筋立てて主張する人がいます。
本当にそうでしょうか?
これが中国の陰謀なら、この機会に大いに日本バッシングを始めるハズなのですが、一向にそうした報道は聞かれません。
伝わってくるのは、むしろこの騒ぎに困惑している中国の表情です。

asahi.com:中国首相、10日から韓日へ 「慰安婦」議論の可能性 - 政治
http://www.asahi.com/politics/update/0409/TKY200704080151.html
(略)
■対日、本音は「安定」

 日本の歴史認識問題をめぐっては、中韓の対日世論が互いに強く意識し合ってきた。中国の対日関係者は「我々は『なぜ韓国のように日本に強い態度に出ることができないのか』との国内での圧力を常に受けている」ともらす。3月下旬、慰安婦問題に反発し、韓国が日韓外相会談をソウルではなく済州島で開くと伝えられた際、中国のネット上には「中国外交は日本に弱い」と書き込まれた。

 安定した日中関係を求める中国政府は安倍政権との間で歴史問題に再び火を付けたくはないというのが本音。ただ、今秋には指導部人事が予定される共産党大会がある。温首相にとっては対日関係で軟弱な姿勢を示すわけにはいかない時期であることも事実だ。

 日本の外交筋は、温首相の訪韓について「過去の例とは状況も違うし、単純比較はできない」と指摘しつつ、「歴史認識問題が日中韓の微妙な関係を反映していることは確かだ」と語った。

さらに、温家宝首相の訪日の日数を変更したりするなど、とても陰謀とは呼べないお粗末さです。いわゆる「反日団体」の行動と、中国政府との連携が取れているとは思えません。これだけの大騒ぎになったのは、安倍首相の自爆発言が原因なのであって、決議そのものではないのです。それを分からない人たちが「中国・韓国の陰謀だ!」と責任を転嫁してるだけなのです。己の無能さに対するルサンチマンを、隣国にぶつけているだけなのです。
あれ?これって、保守系知識人やネット右翼が散々蔑んできた歪な「韓国像」にそっくりではありませんか…?
彼らのやる事は、隣国の欠点を見つけ出しては文句を言うだけの楽な仕事のようですが、自分達も同じような目で見られていることにそろそろ気付いて欲しいものですね。