相変わらず情報弱者の小林よしのり氏

中央公論を購入するために最寄の書店に寄った所、売り切れていたのか、はたまたまだ仕入れていなかったのかは分かりませんが、一冊も見当たりませんでした。そこで仕方なく目に付いた雑誌や論壇誌に目を通して見た所、
SAPIO (毎月第2・4水曜日発売)

小林よしのりゴー宣・暫』↓第六幕第六場 原爆投下について、政治家も知識人も無知である。

この漫画で、小林よしのり氏がまたもや無知を晒していました。広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長がまるで原爆投下を正当化するような発言を行ったとの描写が彼の漫画の中に見られたのです。
この問題は
Scott’s scribble - 雑記。 - 数日待ったが全然はてブが付かねぇ。どーなってんだ。
good2ndの日記 - 広島平和センターの新理事長は、亥年で核廃絶推進派の人です
このお二人のブロガーによって、リーパー氏は原爆投下を正当化する意思など全く無いと判明しているのですが、ネットを使えない小林氏はどうやら報道を鵜呑みにしたようです…。が、元々の記事の内容を見ていても

リーパー理事長は中国新聞のインタビューに、「原爆投下を『日本の植民地支配から解放した』と
肯定する考えが根強いアジアの声に触れながら議論を深め、
多民族が共感、納得できる施設にしたい」と述べた。

とあるだけで、リーパー氏自身が原爆投下を正当化したりする意思があるかどうかは読み取れません。「アジアの声に触れながら」が意味するものは、単に「そういった考えもあるのだ」と紹介しただけと見るのが適当でしょう。小林氏も、ナショナリズムを刺激する記事には脊髄反射で飛びつきたくなるのは分かりますが、ネットイナゴさん達と同じレベルにまで堕ちるのは避けて欲しいものです。


さらには無条件降伏について、相変わらず「条件付き降伏だ!」と強弁されてましたが、

昭和26年10月24日 平和条約及び日米安全保障条約特別委員会

○西村政府委員(外務事務官 條約局長 西村熊雄君)

日本は連合国がポツダム宣言という形で提示いたしました戦争終結の條件を無條件で受けて終戦いたしたのであります。
無條件降伏というのは、戰勝国が提示した條件に何ら條件をつけずして降伏したという意味であります。その当時、政府、大本営連合会議においてポツダム宣言に対して種々の條件を付して
これを受諾したいという議があつたことは、佐竹委員よく御存じのことだと思います。
ただ連合国が戦争指導方針として、無條件降伏というものを強く主張しておりました情勢から考えまして、
日本全体といたしましては、何ら條件を付さないで、先方の提示した條件を受けたのであります。
それが無條件降伏をしたという意味でございます。
むろん先方が提示したポツダム宣言の中には條件がございます。
その條件の一として、日本の領土の範囲は連合国できめるという一項がございます。
その條項に従つて、連合国が日本の領土について最終的な決定を与えるまで、
日本といたしましては、あらゆる角度から日本の要請、国民感情その他が連合国によつて
考慮に入れられるよう努力いたすことは当然でございますし、
また政府といたしましては、十分その責務を盡したと存じております。
しかしその結果、平和條約におきまして、連合国が最終的決定をいたしました以上は、
條件をつけないでポツダム宣言を受諾した以上、日本としては男らしくこれを受けるものであるというのが、
総理の考え方だと存じます。

政府の公式見解として「無条件降伏だ」と明確に答弁している以上、無条件降伏なのですよ。
SF条約の11条の「裁判じゃなくて判決だ!」ロジックもそうですが、こういう言葉遊びはどうも男らしくなくてみみっちいという印象しか受けませんね。歴史修正主義者ってのは大抵が父性の復権を訴えてるにも関わらず、こういった所は妙に男らしくないんだよな。