アジアプレスの石丸次郎氏が北朝鮮政策を批判

朝鮮半島を読む/拉致問題の謬着の原因は政治の貧困にあり (サンデー毎日 2008年11月16日号)

 拉致問題の膠着は04年以降続いている。この4年を振り返ったとき、膠着の原因の一つは、「圧力で拉致問題解決」という強硬策が採用されたことにあったといわざるを得ない。
(…)
 だが結果はどうだったか。膠着は長引くだけ。被害者家族の時間だけが無為に過ぎていった。つまり、強硬策を採用して国民は溜飲を下げたかもしれないが、肝心の北朝鮮には変化を促すことが出来なかったわけだ。その理由は、
(1)中国・韓国との経済関係が拡大した北朝鮮に対して、日本の圧力は政策変更を促すほどのパワーがなかった。
(2)日本の圧力に譲歩するということは、金正日総書記の尊厳を毀損することになり、唯一の指導者の絶対化を国是とする北朝鮮では、受け入れ不可能である。
からだった。
(…)
経済制裁などで圧力を強めれば北朝鮮は折れてくる」という主張が声高に語られ、結果、安倍氏を中心とした勢力に政策として採用された。だが、成果なく過ぎた4年の時間を考えると、その強硬一辺倒の政策は有用ではなかったと総括せざるを得ないだろう。被害者家族の願いに応えられる新しい対北朝鮮政策が検討されなければならない。時間は、ない。


10月25日に講演された蓮池透氏も石丸次郎氏と同様の批判を繰り返されてます。
Journalist-Net | 蓮池透さん講演「2つの国の狭間で翻弄され続ける家族」:川瀬俊治

日本は日本なりにやることが求められる。自主性をもった対応だ。アメリカが北のテロ支援国家解除を行った。しかし同盟国日本への裏切りとするのは疑問だ。はたして経済制裁拉致問題解決にはつながっただろうか。テロ指定が解決につながったか。何も結び付いていない。

 政府は家族会の言う通りにあまんじている。そうしておればいいという姿勢だ。それでいいのか。肉親を取り戻すあらゆる方法を試行してやるべきだ。

 解決のため硬直した手法ではだめだ。北の核は日本にとり最大の脅威だ。6者協議で20万トンの重油を出すことが求められている。これからは段階的に経済制裁を解除していくべきなのだ。


 お二人とも強硬策は北朝鮮には通用しないと仰っていますが、微妙のそのニュアンスは異なっていて、石丸氏の場合は日本の経済制裁は通じない、つまり言外にアメリカがBDA(バンコ・デルタ・アジア)に課したような強力な制裁ならば北朝鮮の政策を変更させられる可能性はあると含ませています。その場合は北朝鮮が対抗措置として核兵器や核技術を拡散させてしまう危険性も孕むため、素人にはオススメ出来ないのですけどねw
 アメリカが何故凍結させたBDAのカネをマネーロンダリングの真似事までして北朝鮮に返したかと言えば、北朝鮮が「核拡散」というアメリカの急所を突いたからでしょう。その前にはアメリカが北朝鮮の急所を突いていました。「このままでは共倒れになる」と危惧したアメリカは、お互いの急所にぶっ刺してあるナイフを「このままだとお互いに死ぬから、少しずつ抜いていこうぜ」と呼びかけているのが、北朝鮮テロ支援国家指定解除に至るまでの現状ですね。そのままだと実際には死んでいたのは北朝鮮であって、アメリカはせいぜい大怪我を負うぐらいでしたでしょうが、弱っているアメリカなら致命傷にも成りかねないと恐れたのでしょうね。
 

「日本独自にテロ支援国家指定」 民主党対策本部の北制裁原案が判明 (1/2ページ) - MSN産経ニュース
 民主党北朝鮮に対してさらなる制裁を加えるべきだと出してきた制裁案ですが、これだと北朝鮮に致命傷を負わせる事は出来ないでしょう。いたずらに北朝鮮の態度を硬化させるだけで、核施設を再稼動させたりして、その責任を日本になすりつけたりする事態も考えられます。現在日本が課している経済制裁が弱いからこそ、制裁を延長してもそんな事態にはなっていないのですが、これだと中途半端に北朝鮮を手負いにさせるだけなのではないか、と。