手嶋龍一氏、他

手嶋氏や森本氏が新聞に寄稿していましたので、文字起こしします。
基本的に私のスタンスと近いです。

外交ジャーナリスト・手嶋龍一氏の話
日米同盟 岐路に
日米同盟は、単なる軍事同盟だけではなく。自由と民主主義という同じ価値観の土台に立っていると説明されている。だが安倍政権が従軍慰安婦問題をめぐり「河野洋平官房長官談話」の否定に傾くようなことがあれば、日米同盟の礎とされる共通の価値観は揺らぎ、日米同盟に亀裂を走らせるだろう。その意味で、同盟は今、岐路に差し掛かっている。イラク戦争でつまづいた米国は、東アジアに十分な戦略的関心を注ぐ余力を失っており、日本が6ヶ国協議で意思決定の中軸を担う時代が訪れつつある。拉致問題がある、以上財政支援はしないという首相の政治判断もその表れの1つだ。安倍政権は世論の人気で選ばれただけに支持率は気になるだろうが、今後世論の支持を安易に得るために外交のカジをとる愚だけは、決して犯してはならない。

野田正彰・関西学院大学院教授(精神病理学)の話
主張に根拠無い
教育基本法を改悪し、防衛庁の省昇格という暴挙を行った同じラインで憲法改悪に向けた国民投票法案の成立を図ろうとしているが、そのツケは国民が払わされることになる。3月上旬に1週間、中国・海南島で元慰安婦を精神鑑定した。日本軍が銃剣を突き立て、家族に暴行し、少女をさらって個室に監禁し、強姦を繰り返した。「慰安婦」ではない。「性的奴隷」だ。安倍晋三首相は調査もせずに自分の願望を言っているにすぎない。狭義の強制性はないと言う首相の発言には根拠がない。中曽根康弘元首相は、国際政治を見ながら、右派を主導していた。安倍首相は外交、経済の無知をカバーするため右派の主張をして、特色を出そうとしているが、慰安婦問題の発言に見られるように無知の地金が現れてきている。

森本敏拓殖大海外事情研究所所長の話
閉塞感否めず
安倍政権の外交は今、閉塞状態といえる。特に、機軸となる日米同盟が実務レベルで危ういところにある。訪米時期の遅れやイラク開戦を批判した久間章生(ふみお)防衛相の発言などが重なり、米側の当初の期待が失望に変化しつつある。北朝鮮外交ブッシュ政権イラク問題にほとんどの精力を注ぎ込み、「朝鮮半島は中国に任せた。アジアで処理してくれ」と冷めた対応ぶりがうかがえる。日本が拉致問題固執し、米側がかなり配慮しないといけない状態を作ってることも米側の外交手段を縛っている。ただ安倍晋三首相にとって拉致問題は最重要の国内問題であるし、米イラク政策への支援や米軍再編に絡む財政負担も世論の支持が得られにくい。ダイナミックな外交が可能になるのは、夏の参院選後ではないか。