人権擁護法案と高齢者虐待防止法

私は今まで人権擁護法案についてこの解釈を信じてきましたよ。

archives of bewaad institute@kasumigaseki(2005-04-09)
(Q6-5)特別調査においては、令状なしの提出物件領置や立入検査が認められており、問題ではないか。


(A)
一般調査とは異なり正当な事由がなくては拒否できませんが、逆に言えば正当な事由さえあれば拒否できます。なお、令状に基づく差押、押収や捜索については、「差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる」(刑事訴訟法第111条)とあり、抵抗しても実力で排除可能ですが、立入検査については、わかりやすい例を出せば居留守を使われたときであっても、このような処分権が付与されていないため勝手に入ることはできません。さらには、このような立入検査権は他にもいくつも例があり、人権擁護法案のみの特別な規定ではありません(ちなみに、各種の立入検査権の中でも、忌避した際の罰則で比較すれば弱い権限に属します)。

でもですね、高齢者虐待防止法では同じ「立ち入り調査」で逮捕者が出ているんですよ。

中日新聞:高齢者虐待、どう防ぐ 『個々の対応』悩む自治体
 「十二月から言い争う声がしない」「ごみに紙おむつがなくなった」という情報も入り、父親の安否に不安を抱いた市は十八日、田無署立ち会いで、高齢者虐待防止法に基づく立ち入り調査を実施。長女は検査を拒否し、強引に玄関を閉めようとしたため同法違反(正当な理由なく調査を妨害)の現行犯で逮捕された。

人権侵害と高齢者虐待では比較対象として適当ではないかもしれませんが、こうやって反証例が出てしまった以上、この解釈を鵜呑みにするのは危険なのかなぁ…。